トミー・ゲレロと彼のバンド・メンバー、ジョシュ・リッピによる新プロジェクト、ロス・デ イズのフル・アルバムが完成。このプロジェクトは彼等がカリフォルニア郊外のジョシュア・ ツリー国立公園沿いにある砂漠の丘に囲まれた太陽光発電のみで稼働する家に集い、数本のギ ター、ミニマムな機材、そして事前の打ち合わせ無しの5日間のセッションで完成した作品。 砂漠に囲まれた荒涼とした環境で、鳴き砂や風などの自然環境にインスパイアーされ、瞑想を 繰り広げた素晴らしいサウンド・ジャーニーが広がった傑作。マカロニウエスタンを彷彿とさ せるハードボイルド、クラシカルなオールディーズ、美しい夕日を連想させるドリーミンなイ ンストゥルメンタルはリスナーの想像力を掻き立てる美しい名作。
インタビュアー:バルーチャ・ハシム廣太郎 (Hashim Kotaro Bharoocha)
Photo by Claudine Gossett

 

トミー・ゲレロとの出会いを教えてください。

ジョシュ・リッピ(以下JL): 僕はスケートボードと音楽をやりながら育ったから、トミーとサンフランシスコの音楽シーンの中で出会ってすぐに仲良くなったんだ。トミーが『Return Of The Bastard』のリリース・パーティをやった時に、その前座として出演したニノ・モスケラのバンド・メンバーとして僕も参加して、そこで出会った。トミーはもともとベーシストとしてスタートをしたし、ベースは僕のメイン楽器でもあるから、グルーヴやリズム感のある音楽が二人とも好きで、そういうところでも意気投合したんだ。DIYのメンタリティ、常にクリエイトしていたい欲求、そして独学で音楽を探求していくところも似ているよ。}

ロス・デイズとしての活動のきっかけは?

JL: 新しいプロジェクトを始めようと考えていたわけじゃなくて、人里離れた場所に行って、音楽を作ってみようという話になったんだ。僕の友人が砂漠のど真ん中に家を持っていて「僕はそこに一人で行って、レコーディングしてみようと思ってる」とトミーに話したら、トミーも一緒に行きたいということになった。曲のアイデアなども何も決めなままで砂漠に向かったんだ。数日間一緒にレコーディングしていくうちに、1枚のアルバム分の楽曲が完成していた。4、5日間で全てレコーディングし終わって、サンフランシスコに戻ってから、さらに音を追加したり、ミックしたりして作品が完成したんだ。

レコーディングはどんな雰囲気だったんですか?

JL: 僕とトミーは砂漠の雰囲気が大好きで、僕らのようにいつもツアーしたり、都会にいると、人里離れた静かな場所に行って、自然の中にいると癒される。僕の友人、リッチ・グッド(サイケデリック・ファーズの現ギタリスト)は、このアルバムでギターも少し演奏しているけど、彼がワンダーバレーに家を持っていたんだ。彼の家でレコーディングすることで、都会の喧騒から離れて、何にも邪魔されずにクリエイトすることに没頭できた。この家はスタジオではなくて、本当に砂漠のど真ん中にある一軒家なんだ。そこに少ない機材、ギター、アンプを持って行って、この家のリビングルームでレコーディングしたんだよ。

いつもと違う環境でのレコーディングは楽しかったですか?

JL: 事前に曲は一切作っていかなかったし、コンセプトも決めていかなかった。ワンダーバレーの家に行って、ただ演奏し始めたんだけど、窓から見える砂漠、山、夕陽、星空、そして吹き抜ける風、コヨーテの遠吠えが音楽のインスピレーションになった。窓から見える景色を見て、それに対するサウンドトラックを作っていった感覚だよ。

どんな機材を使ってレコーディングしましたか?

JL: 数本のエレキ・ギター、ベースと、マイク、アンプ、ドラム・マシンなどのシンプルな機材を持って行ったよ。あと、砂漠の家にあった楽器も使った。古くて壊れたシルバートーンのアコースティック・ギターが壁に飾られていて、それも使ったんだ。あと、コンガの代わりにトミーは家の外に置いてあったペンキの缶を叩いたり、砂漠の砂を使って作ったシェーカーも演奏した。あとで、サンフランシスコにあるRuminator Studioでエンジニアのモンティ・ヴァリエとポスト・プロダクションの作業をしたんだよ。

あなたはロス・デイズのアルバムと同時期に、自身のバンドであるジョッシュ・リッピ・アンド・ザ・オーヴァータイマーズ名義で『The Sacramento』をリリースしていますよね。

JL: 自分のアルバムとロス・デイズは同時期に作っていたから、お互いに影響しあったと思う。当時は私生活において大変な時期だったから、両方の作品を作ることで心の癒しになったんだ。

日本のリスナーにメッセージをお願いします。

JL: 世界中はまだ大変な状況だけど、この音楽を聴くことで少しでも乗り越える手助けになったら嬉しい。こういう時期だからこそ、人生において何が大切かを考えて、この状況が終息したら、みんなの前で音楽を演奏したいね。日本にまた行ける日が楽しみだよ。サポートをしてくれてありがとう!

 

最後にジョシュと共作したトミー・ゲレロの言葉を。

「俺とジョッシュがレコーディングした時は、なるべくミニマルな機材でムードのあるサウンドをクリエイトしようとしたんだ。ロス・デイズのアルバムのサウンドやムードはとても視覚的でシネマティックだよ。ジョッシュは素晴らしいミュージシャンだし、友達だから、アイデアを出し合って作る作業が楽しかった。またジョッシュとロス・デイズのレコーディングを春にやる予定だよ。それまでにコロナのワクチンが完成していることを願ってる」

リリース情報

ロス・デイズ (トミー・ゲレロ&ジョッシュ・リッピ) シンギング・サンズ
Los Days | Singing Sands

 

TOO GOOD/RUSH PRODUCTION/OCTAVE-LAB OTLCD2531
税抜定価 : \2,400 + 税
2021 年 01 月20 日 (水) 
Photo by Claudine Gossett

 

TOMMY GUERRERO

Photo by Claudine Gossett
カリスマティックなスケーターとして世界のストリートに影響を与え、オリジナリティ溢れる サウンドで多くの支持を得ているミュージシャンでもある、真のストリート・アーティスト。 サンフランシスコ出身。伝説のスケートボード・チーム【Bones Brigade】最年少メンバーと してシーンに登場。抜群の知名度と影響力を持つオリジナル・ストリートスケーターとしてス ケートボード界で成功を収めた。その後、ミュージシャンとして音楽活動も開始。98年に発表 したデビューアルバム『Loose Grooves & Bastard Blues』がロングセラーを記録、音楽シー ンでも確かな地位を確立する。Galaxia、Moʼ Waxなどのレーベルからのリリースも含め、作品をコンスタントに発表。オリジナル・アルバムを10枚発表している。近年ではリリースの度に大規模なツアーを行い、日本でも数カ所ツアーを行い、新たなファンを獲得している。又、 日本ではキューピーのCMに書き下ろした「Mayo(It Gets Heavy)」でも有名に。日本のストリートカルチャー・シーンでも絶大な人気を誇るカリスマ的アーティスト。

 

ジョッシュ・リッピ&ザ・オーヴァータイマーズ(Josh Lippi & The Overtimers)

ジョッシュ・リッピ&ザ・オーヴァータイマーズは、サクラメント出身のジョッシュ・リッピのソロ・プロジェクト。ジョッシュ・リッピは、ベーシストであり、女性シンガーソングライターであるKフレイのツアーとレコーディングのサポート・メンバーでもある。伝説的スケーターとミュージシャンでもあるトミー・ゲレロ、リー・ボブ&ザ・トゥルース、ザ・パーク、アメリカのトップ・ヒップホップ・アーティストであるロジック、イギリスのソウルシンガーであるアリス・ラッセルとも共演している。彼のソロ作品は、ガラージ・ロックのエネルギーが漲っており、DIY精神と労働者階級のバックグラウンドがインスピレーションとなっている。初めてフロントマンを務めたこの作品でリッピは作曲、プロデュース、レコーディングを一人で自身のサンフランシスコのスタジオで行い、楽器も殆ど一人で演奏した。2014年、トミー・ゲレロのジャパンツアーでベーシストとして初来日、翌年15年にトミー・ゲレロ、レイ・バービーと共にGREENROOM FESTIVAL ‘15に出演、東京公演ではフロントアクトを務める。18年にはレイ・バービーのジャパンツアーに参加し、FUJI ROCK FESTIVAL ‘18にも出演した。19年には、トミーゲレロと共にGREENROOM FESTIVAL ‘19に出演した。19年11月20日には、シングル “Everybody’s Crazy”をデジタル・リリース.アートワークは、カリフォルニア出身で、若い頃からスケートとサーフをして育ったトーマス・キャンベル描いている。20年3月25日にはセカンド・シングル”Float On”をリリース。2021年1月20日にThe Sacramento EPをリリースする。同日、トミーゲレロとのユニットLOS DAYのアルバム”Singing Sands ”をリリースする。