【Live Report】ピテカントロプスになる日 vol.6 Have a good day! ~春待つ君に捧ぐ歌~

【Live Report】ピテカントロプスになる日 vol.6 Have a good day! ~春待つ君に捧ぐ歌~

text by 櫻井 央(duo MUSIC EXCHANGE)/ photo by 深堀瑞穂

 


 

柳原陽一郎とduo MUSIC EXCHANGEの共同企画「ピテカントロプスになる日」。気づけば前回(2018年11月)から3年と少しが経ち、今夜は第6回目の開催となった。ゲストは、柳原を”神”と崇めるシンガーソングライター大石昌良と、長年交流がありながらも、今回柳原とは初共演となる遊佐未森の二組。この3年間、新型コロナウィルスの影響でライブハウスが大打撃を受けている最中、両名ともにduo MUSIC EXCHANGEで幾度となく公演を実施していただいたこともあり、個人的にも、今回の三名でのイベントを感慨深い気持ちで迎えた。都内の喫茶店で行った事前の鼎談(http://dmxweb.jp/musicforlife/archives/2248)でも、すでに意気投合し、話が止まらない三人がいよいよステージ上で共演する。

ご機嫌なBGMで、まずは柳原陽一郎が登場し、ピアノへと座る。久々の開催となることへの想いと、企画趣旨を説明し、早速、大石昌良を呼び込む。小学校の頃に”たま”のアルバム『ひるね』で育ったという大石は、登場するなり「神!!」と叫びながら、柳原への想いを語った。なんと二人ともルーツが愛媛県ということで、宇和島の”闘牛”の話で盛り上がる中、本企画おなじみのセッション1曲目”牛小屋”がスタート。大石が歌うと、コミカルながらもどこかアダルトな雰囲気になる名曲の懐の深さを改めて感じた。

 

 

柳原がステージ上のソファに座ると、大石昌良ソロコーナーへ。1曲目は、挨拶がわりの”ピエロ”で、エンターテイナー大石昌良をフロアにプレゼン。続いて、神 = 柳原に捧げる曲という前振りで、生命の神秘(男性のシンボル)を歌った”ミスター”を披露し会場を沸かせる。その後は、”ファイヤー!”と”ボーダーライン”の2曲で、大石の真骨頂であるギターテクニックと歌唱力を見せつける。ソロパートの最後は、未リリース曲”ただいま”。公演日の前日深夜に、都内でも大きな地震があり、11年前の大震災の日が頭によぎった方も多いのではないか。「帰れる家があることのありがたさ」を歌ったこの曲も、一層心に沁みるものになった。

 

 

ソロパートが終わり、今度は大石の楽曲を柳原とセッションへ。今回演奏するのは、”眼鏡ダーリン”。大石が分析する柳原の楽曲は、「何かに固執するしつこさ」とのこと。それを受け継いだ大石が「眼鏡」というモチーフを歌うこの楽曲で、柳原がピアノとコーラスで新しい色を加えた。

 

 

続いてのゲストは、遊佐未森。柳原が遊佐と初めて会ったのが、フジテレビの「夜のヒットスタジオ」(前述の鼎談も参照)とのことで、その当時から30年を経てなんと今回が初共演。遊佐を呼び込み、当時の貴重なエピソードも披露しながら、セッション1曲目は、2018年リリースの『小唄三昧』に収録されている”やなちゃんのワカンナイ節”。久々に柳原が持つエレキギターの乾いたサウンドと共に、遊佐の透明感のある歌声が入り、よりシニカルさが増した特別なセッションとなった。

 

 

遊佐未森のソロパートは、ハープに吉野友加 (tico moon)を迎え、昨年リリースした5年ぶりの新作『潮騒』から、”朝露ノ歌”でスタート。会場の空気の色がすっと変わったような心地よい1曲。続いては、遊佐の故郷の仙台の並木道が目に浮かぶような”僕の森”。大石が「動」なら遊佐は「静」。イベントの醍醐味とも言えるそれぞれのステージの色の違いを楽しむ。3曲目は、こちらも”潮騒”から”BALCONY”。さらにアップテンポなピアノ弾き語りで疾走感のある“オレンジ“を披露。ソロパートラストは、”夢みる季節 タルトタタン”。ピアノとハープの掛け合いに、ベルカント唱法を用いた遊佐の印象的な歌声が心地よい。

 

 

柳原にピアノの席を譲り、遊佐の楽曲”水夢”をセッション。当日までどのようなセッションになるのか、全く予想できなかったが、柳原と遊佐の歌声が絶妙にマッチしていて、まさに夢の中のような幻想的な雰囲気を創り出していた。

 

 

柳原がそのままステージに残り、ソロパートへ。1曲目は、デビュー30周年をきっかけとして制作された昨年リリースのピアノ弾き語りアルバム”GOOD DAYS”にも収録されている”まわれ糸車”から。続いて、”ほんとうにスキな人”、新曲”となりのクルド人”へ。疫病、地震、戦争というキーワードをニュースで見ない日のない昨今、柳原の世界を見る目線を共有してもらっているかのような楽曲が続く。4曲目は、たまのアルバム「ひるね」に収録されているおなじみ”オリオンビールの唄”。大石もステージ袖で見守る。ラストは、「希望を無くすな」というメッセージの”再生ジンタ”から、”また明日”へ。「人にとってありふれた日々が取り戻せるように」という柳原の言葉が、この非日常の世の中で、お客さん一人一人に染み渡ったのではないだろうか。

 

 

最後は、「ピテカントロプスになる日」恒例の”さよなら人類”。大石昌良、遊佐未森を改めてステージに集め大団円。今回の”さよなら人類”、大石昌良の歌唱力と、遊佐未森のハイトーンボイスが、ばっちりとハマり、本イベント史上でも、奇跡とさえ言えるような素晴らしい完成度だった。まさにピテカントロプスになれるような気さえする”宇宙”のような楽曲の広がりを感じた。

 

 

アンコールは、逆に大石と遊佐がステージのソファで見守る中、柳原一人で、”夏がきたんです”を披露し、終演となった。

 

 

少し暖かい風が吹きはじめた3月の一夜。コロナ禍もやっと雪解けしていきそうな雰囲気の中、春を待ちながら、笑顔で”Have a good day!”と言い合えるような日常が戻って来ますように。

 

 

 

【柳原陽一郎 × 大石昌良】
牛小屋(たま)

【大石昌良】
ピエロ
ミスター
ファイヤー!
ボーダーライン
ただいま

【大石昌良 × 柳原陽一郎】
眼鏡ダーリン(大石昌良)

【柳原陽一郎 × 遊佐未森】
やなちゃんのワカンナイ節(柳原陽一郎)

【遊佐未森】
朝露ノ歌
僕の森
BALCONY
オレンジ
夢みる季節 タルトタタン

【遊佐未森 × 柳原陽一郎】
水夢(遊佐未森)

【柳原陽一郎】
まわれ糸車
ほんとうにスキな人
となりのクルド人
オリオンビールの唄
再生ジンタ
また明日

【柳原陽一郎 × 遊佐未森 × 大石昌良】
さよなら人類(柳原陽一郎)

【柳原陽一郎】
夏がきたんです

 

ピテカントロプスになる日 vol.6 Have a good day! ~春待つ君に捧ぐ歌~

■出演:大石昌良 / 遊佐未森 / 柳原陽一郎
■開催日時
2022年3月17日 (木)
 18:00 OPEN / 18:45 START
■開催場所
 duo MUSIC EXCHANGE
 東京都渋谷区道玄坂2-14-8 O-EASTビル1F
 ●duo MUSIC EXCHANGE Webサイト:http://www.duomusicexchange.com
■主催:Music For Life
■企画・制作:SWEETS DELI RECORDS / Music For Life
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