インタビュー・文:田原 葉奈(duo MUSIC EXCHANGE)

2023年10月18日(水)に3rd mini Album『革命を覚えた日』をリリース、
さらに11月25日(土)にduo MUSIC EXCHANGEにてワンマンライブを控えるSano ibukiさんにインタビューを実施。
今回のアルバムについてのお話やパーソナルなことまでいろいろ聞いちゃいました。
ぜひ、最後までお楽しみください。

 

楽曲を作る時も、
ガラス1枚挟んだ映像を見ているような
感覚で書いてる時もあったりして

 

― duoでのワンマンライブを控えているということで、まずはduoの印象についてお伺いします。
以前、2023年5月に4組出演の対バンイベントでduoにご出演いただきましたが、その時の印象はいかがでしたか?
duoにライブを観に来たことは2回ほどあったのですが、ステージに立ったのはその日が初めてでした。
横幅が広く、ライブ中も色々な方向からお客さんの目線が集中して集まってくる感じがして、物理的距離だけじゃなくて心の距離がすごく近く感じました。 ライブをやっていてお客様との一体感があったような感じが印象深いです。


―初めての方は柱の感想を口にする方が多いのですが、柱はどうでしたか?
確かに大きいな〜とは思いましたが、やっぱりそれ以上にお客様の距離感の方が印象に残りましたね。
あと、2階席がステージから意外とよく見えるんだなと思って。
その時は、自分より先にライブを終えた共演者の方々が僕のライブを2階席で観てくださっているのが見えて、嬉しくなりました。 ステージからよく見えているとは知らずに、僕も他のアーティストさんを2階席で拝見させていただいていたので、「こんなに見えてたんだ」と恥ずかしくもなりました(笑)


―Sano ibukiさんの楽曲は作詞、作曲をご自身で手がけられていますが、毎回どういう流れで曲が完成しますか?
僕の場合は結構まちまちなんですが、大体はタイトルが一番先に出来ていて、それと同時にこんな音だな、とかこんな感じ、というようなイメージが頭の中にあるので、それでメロディを作っていって、歌詞を作っていく、という流れが一番多いです。
タイトルをつけるタイミングで、物語というかストーリーを作ってしまって、主人公のキャラクターを設定したりします。


―今回のminiアルバム『革命を覚えた日』に収録されている曲では、当て字のようなタイトルもあったのでタイトルが先に出来ているというにはとても意外ですね。
曲を作るのって無限にできることがあって、出来すぎちゃうが故に散漫としちゃうことがあるんです。 なのでタイトルから先につけることによって、不自由を作ってあげて、その中で自由に作る、という作り方はありますね 。


―歌詞が先にできることはありますか?
歌詞が一番先、ということはほとんどないですね。
メロディと歌詞が前後することは結構ありますが、タイトルがついてない状態で作曲をしたことはないかもしれないです。 とはいえ、いざ曲が完成して、決めてたタイトルとは違うタイトルになっちゃうこともありますね 。


―私が楽曲を聴いている中でも、ストーリーがあって世界観がはっきりしているというのはすごく感じます。
でもSano ibukiさんの楽曲ってすごく不透明だなと感じていて、真っ直ぐじゃない言い回しでも情景がスッと伝わってくるような、不透明なのに明瞭な、そんな印象を受けました。
学生時代、窓際の席になることが多くて、田舎の学校だったので、席から見える景色が森の中みたいだったんです。
今思い出すと、ガラス1枚挟んだ青春時代を送っていた様な感じです。 なので楽曲を作る時も、ガラス1枚挟んだ映像を見ているような感覚で書いてる時もあったりして、それがもしかしたら不透明な印象に繋がっているかもしれないですね。

『Sano ibukiが宿っているよね』
となるよう意識して楽曲を作っています。


―これまで、数々の映画の主題歌を担当されておりますが、映画のテーマやストーリーに合った楽曲を作成するのに、意識している事などはありますか?

作品との接点を探すということは重要視しています。
寄り添いすぎても、寄り添わなさすぎてもダメだなと思って、難しい距離感ではあるんですが、、、
普段、物語を描いて、主人公を立てて、という感じで曲を書くのが好きなので、それに近い感覚で作っているところはなんとなくあります。
どうやったら自分自身と物語の接点を見つけられるか、という考えで楽曲を作っています。
例えば『ぼくらの7日間戦争』という作品に曲を書かせていただいた際、
自分自身はメジャーデュー寸前のタイミングだったので、アーティストとしてより遠くに行くために覚悟をしなきゃいけないという気持ち、
アニメの主人公は覚悟を持って閉じこもる、という選択、
双方の“覚悟”という部分にシンパシーを感じたので、そこに寄り添うように心がけました。 あとは、アニメそのものをはっきり表さなくても近しいものになるような、そんな表し方が楽曲の中でできればいいなと思っています 。


― アニメそのものを楽曲で表そう、ということではないんですね。
もちろん、アニメ監督やプロデューサー、原作者さんなど制作陣の方に気に入って頂きたい気持ちもありつつ、なによりもその先にいる、聴いてくださるお客様に大切に思って欲しいという気持ちが一番大きいので、アニメや映画を通さなくても『Sano ibukiが宿っているよね』となるよう意識して楽曲を作っています 。


― 今お話を聞いて改めて感じましたが、楽曲を作るという段階では本当に色々な思いがあるんですね。
こんだけ色々な想いがあると、1曲を仕上げるのに時間はかかりますか?
周りの話を聞いてみると、僕は早い方だと言われます。
でも時間をかけて作品を見るようにしています。
とにかくたくさん見てから、忘れるようにしています。 一旦忘れて、いい意味で離れてから作曲を進めてみたりします 。


― 楽曲だけでなく、ミュージックビデオもご自身で監督・編集を手掛けて作成されていることもあるとの事ですが、中でもこれだけは絶対に見て欲しいイチオシの作品を教えてください。
え〜〜どれかな〜〜、、、ムズカシ〜


― じゃあ、たとえば、sano ibukiさんの映像作品を見たことがない方に一番最初に見て欲しい物とか?
むずかしいですね。
でも『twilight』という作品は、”好きを見つけた瞬間”をテーマに楽曲として描いていて、監督の増田彩来さんと、何度も語り合い、話し合ってミュージックビデオを制作しました。
僕は自分で作ったりすることも多いんですけど、あえて監督のフィルターを通して、さらにたくさん話し合った上で完成したMVというのは『twilight』が初めてなので大事にしている作品ではあります。
僕がそもそも監督の増田彩来さんの写真がすごく好きで、、、好きなんですよね。(笑)
Sano ibukiというものがわかりやすい作品になっていると思います。 僕の青さと、切なさというか、消えてしまいそうな何かと、でもちゃんと熱いものみたいな矛盾した感じも楽曲にも映像にも詰まっているのでみなさんに見ていただきたいです
 

グッズに関しても結構こだわりが強いので、
マネージャーをはじめ、
スタッフさんを困らせてしまっていますね(笑)

 

― これだけさまざまなことをご自身でプロデュースされているということで、
ひとつ気になっていたのですが、もしかしてグッズとかもご自身で手がけられていますか?
実は結構やっています。


― 先日、ミニアルバム『革命を覚えた日』の限定版特典のTシャツをご自身で発表して、さらに詳細な説明までされていたのを見て、すごく驚いたんです。
裏面を左手で描いたりしていてすごくこだわっているようだったので、もしや過去のグッズもご自身で手がけられているのか、、?と気になってしまいました。
グッズに関しても結構こだわりが強いので、マネージャーをはじめ、スタッフさんを困らせてしまっていますね(笑)
Tシャツ1つ取っても、生地とか、ボディの形がどうかとか、自分の手で触って確かめて決めてます。もちろん試着して、着心地、サイズ感も全部。
デザインとかも、原案は全部自分で出してます。

(Mg) デザイナーさんには、ここはもう少しこう配置したほうがまとまりますよ、と助言をいただきながら、基本はSanoの原案をほとんど手を加えず整えてもらう形で制作が進むことが多いです 。

お客様に手に取っていただいた時になるべく笑顔になっていただきたいんですよね。 ライブに来ていただけることってハードルが高い物だと思っているので、せっかく来ていただいたお客様にはできるだけ笑顔になって帰ってもらえるようなグッズを作りたいなと思っています 。


― Sano ibukiさんの思う”やりたいこと”と、スタッフの思う”できること”がぶつかったりしませんか?
できないならやめよう、となることは結構あります。
でもそれは正しいと思っていて、妥協して納得のできないものを作るならなしにしよう、っていうハードルを設けた上でクリアできるものしか出していないので僕のグッズはいいものしかないです!自信があります。


― ここまで考えてくれてるなんて、お客様も嬉しいですね。
今回のミニアルバム『革命を覚えた日』の限定版特典のTシャツの裏面はどうして左手で描こうと思ったんですか?
裏面のデザインは、独特の歪感を出したいというのがあって、最初は右手で普通に描いてみたり、他の方に描いてもらったり、フォントで作ったりとか、いろいろ試しました。
歪なんだけど、少年感が足りないな〜と思っていて、左手で描いてみたら、これだ!となりました。
いい”下手くそ感”が一番しっくり来ました。
ただ、左手で描いてても、何度か書き直していたらだんだん上手になっていってしまって、それは困りましたね(笑) かなりいろいろやったよね、、、ごめんね 。

(Mg)本当だよ(苦笑)
でもポイントが明確だったから、まぁ付き合うか、という感じでスタッフ陣もたくさん頭を悩ませましたね。


― 思い付きで左手で描いた訳ではなかったんですね。
試行錯誤の中で辿り着きました。
時間が許すなら、海外の子供に書いてもらったりとか、やってみたかったですね。

(Mg)本人がグッズにこだわりがありすぎるから、全て自分で説明できちゃうんですよね。
生地からデザインまで。 しかもそれをファンの方に向けて自分の言葉で説明する、ファッションショーっていう配信ライブを毎回やっているんです 。

どうせだったらいろいろ知って欲しいじゃないですか。
こんな着回しができるよ、とか。
自分の服を持って行って、たくさん着回しを披露してます。
その場でどんな服を着て欲しい?とかコメントで聞いたりもします。


― 毎回このような配信をされているとオシャレなお客さんが多いんじゃないですか?
同じグッズでもいろんな着方をしてきてくれるので嬉しいですね。
もちろんそのまま着てても、タオルを首からかけてるっていうシンプルなのでも嬉しいですし、これだけ丹精込めて作っているので、ファンの方もこだわってくれてるのを見ると”フフフ”ってなっちゃいます。

僕も1人だから大丈夫だよと言ってあげられるような
楽曲を作りたいなと思っています


― では、duoのインタビュー企画のマンスリーテーマとして、ちょっと音楽とは関係ないことを1つ。
幼少期時代はどんな子供だったか、教えてください。
小学校の低学年の時は活発な子だったらしいですね。
あまり覚えてないですがヤンチャをいっぱいしていたらしいです。
でも、10歳くらいから15歳くらいまでは、それこそ窓際系でした。他人に興味ないと思われてたくらい、友達も少なくて、おしゃべりをする相手もごくわずか。
幼馴染でいつも一緒にいたやつがいるんですけど、そいつ以外ほぼ喋らずでした。


― もしかしたらそんな幼少期が知らないうちに楽曲に表れているかもしれないですね。
引っ張り出そうとしてないのに、気付かないうちに出てくる秘めていた感情、というか。
その通りで、まさに子供の頃のことを思い出すことは多いです。
小学生の時にジャングルジムのてっぺんから落っこちて、肘を複雑骨折したんですけど、肘ばっかり気になっていたら膝や足もボロボロになっていて1年運動ができなくなったことがありました。
運動を禁止されている時期に、みんなが遊んでいるのを、電気も消されたような暗い部屋から見ている疎外感みたいな、世界から弾かれた感覚は今の自分にも宿っていると思います。
それは音楽活動にも通じているような気がして、
一人ぼっちになった経験もあり、でもそんな僕でも歌えているんだという現状があるので、一人ぼっちだと感じている方が僕以外にいるのなら、
僕も1人だから大丈夫だよと言ってあげられるような楽曲を作りたいなと思っています。


― では、最後に今回duoで開催される『Sano ibuki ONE-MAN LIVE “GOOD LUCK”』に向けて、見どころ、意気込みをお願いします。
今、セットリストや演出がようやく出来始めてきたところなのですが、
タイトルで“GOOD LUCK”と銘打っているように、ライブを見てくれた方の明日に向かう活力の一歩になるようなライブができたらいいなと思っています。
そういう気持ちにさせるぜ!という意志を込めています。


Sano ibuki ONE-MAN LIVE “GOOD LUCK”

2023年11月25日(土) open 17:15 / start 18:00
◆一般チケット:¥4,000 (Dr別・整理番号付き・税込) 
https://eplus.jp/sanoibuki/
(問)HOT STUFF PROMOTION:050-5211-6077
[平日12:00〜18:00]


2023年10月18日(水)発売

Sano ibuki  3rd Mini Album 
『革命を覚えた日 』

01 少年讃歌
02 罰点万歳
03 下戸苦情
04 menthol
05 眠れない夜に
06 久遠
<CDのみ収録ボーナストラック>
07 エイトビート